共働きで子育てもしながら、教育費・住宅ローン・日々の生活費とやりくりしていると、「老後資金の準備まで手が回らない…」と感じる方も多いのではないでしょうか。そんなご家庭にこそ検討してほしいのが、iDeCo(イデコ=個人型確定拠出年金)です。iDeCoは節税しながら老後資金を積み立てられるしくみで、加入者数は2023年7月末に300万人を突破しました(参照:厚生労働省、2023年)。
とはいえ、「本当にお得なの?」「途中で引き出せないって聞いたけど大丈夫?」と不安もありますよね。この記事では、FP2級・元銀行員の主婦目線で、iDeCoのしくみ・節税メリット・注意点・最新の制度改正までやさしく整理してお伝えします。
iDeCo(イデコ)ってどんな制度?基本のしくみをおさらい
まずは「iDeCoって結局なに?」というところから整理していきましょう。
自分で積み立てて自分で運用する「私的年金」
iDeCoは、国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せする形で、自分で掛金を積み立てて自分で運用する「私的年金制度」です。毎月5,000円から始められ、1,000円単位で掛金を設定できます(参照:政府広報オンライン、2024年)。掛金額の変更は年1回までというルールがあるので、最初は無理のない金額からスタートするのがおすすめですね。
運用商品は、定期預金などの「元本確保型」と、投資信託などの「価格変動型」から自分で選びます。受け取りは原則60歳以降、最長75歳まで運用を続けられます。
加入者は2023年に300万人を突破
iDeCoの加入者数は、2023年12月時点で約317.4万人、月の新規加入者は約3.5万人にのぼります(参照:国民年金基金連合会、2023年12月)。2018年8月末に100万人、2021年5月末に200万人を超え、急ピッチで広がっていることがわかりますね。共働き世帯にとっても身近な選択肢になってきました。
加入区分ごとの掛金上限額
iDeCo 加入区分別 掛金上限額(2024年時点)(筆者作成)
iDeCoの掛金上限は、加入している年金制度によって異なります。会社員か公務員か、自営業か専業主婦(主夫)かで上限が変わるため、ご自身の区分を確認しておきましょう。後ほど図解でも整理しますね。
iDeCo 節税の3つのメリットと具体的な効果
iDeCoの最大の魅力は、なんといっても「節税効果」です。3つの税制優遇を順番に見ていきましょう。
①掛金が全額「所得控除」になる
iDeCo節税効果のシミュレーション(年収500万円・月2万円の場合)(筆者作成)
iDeCoの掛金は、その全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます。つまり、所得税と住民税の課税対象となる金額が減るので、税金が安くなるしくみですね。
たとえば、年収500万円の会社員が毎月2万円(年24万円)を積み立てた場合、所得税率10%+住民税10%とすると、年間およそ4.8万円の節税になります。20年続ければ約96万円の節税効果。これは大きいですよね。
②運用益が非課税で再投資される
通常、投資信託の運用益には約20.315%の税金がかかりますが、iDeCo内で得た運用益は非課税です。値上がり益も分配金もまるごと再投資できるため、長期で見ると複利効果が大きく働きます。
③受取時にも「退職所得控除」「公的年金等控除」が使える
60歳以降の受取時にも、一時金なら「退職所得控除」、年金形式なら「公的年金等控除」が適用されます。ただし注意点として、iDeCoから取り崩したお金は会社の退職金や公的年金と合算されて課税対象になります(参照:国税庁「退職所得の源泉徴収・特別徴収の取扱い」)。勤務先の退職金が多い方は、受け取り方の工夫が必要になりますね。
始める前に知っておきたいiDeCoの注意点・デメリット
メリットだけでなく、必ず知っておきたい注意点もセットでお伝えします。
原則60歳まで引き出せない流動性リスク
iDeCoは老後資金専用の制度なので、原則60歳まで引き出せません。教育費や住宅購入資金など、中期で使う予定のあるお金をiDeCoに入れてしまうと、いざというときに使えず困ってしまいます。共働き世帯では、まず生活防衛資金(生活費6か月〜1年分)を確保し、教育費はNISAや学資保険など別の手段で準備したうえで、余剰資金をiDeCoに回すのが安心ですね。
専業主婦(主夫)は所得控除の恩恵を受けられない
iDeCoの最大のメリットである所得控除は、課税所得がある人だけが受けられます。専業主婦(主夫)など課税所得がない方は、運用益非課税のメリットは享受できますが、掛金の所得控除メリットはありません。この場合はNISA(少額投資非課税制度)の方が使い勝手がよいケースも多いです。
元本割れリスクと運用期間の上限
iDeCoは投資商品なので、選んだ運用商品によっては掛金合計より受取額が下回る可能性もあります。また、運用できるのは最長75歳まで。受取時期の直前に暴落が起きた場合、回復を待つ時間が限られるリスクも頭に入れておきましょう。受取の数年前から徐々に元本確保型へ切り替える「リバランス」も検討したいですね。
2024年〜2027年の制度改正で何が変わる?
iDeCoは現在、段階的な制度改正が予定されています。ご自身の区分でどの上限が適用されるか、確認しておきましょう。
2024年12月:公務員・企業年金加入者の上限アップ
2024年12月(2025年1月引き落とし分)から、企業年金や共済に加入している方のiDeCo拠出限度額が最大月2万円に変更されました。公務員は月1.2万円→2万円(年額14.4万円→24万円)と大幅アップです(参照:厚生労働省/政府広報オンライン、2024年)。あわせて、これまで必要だった「事業主証明書」も2024年12月で廃止され、手続きがぐっと楽になりました。
2025年度税制改正:さらなる上限引き上げ
2025年度税制改正では、第1号被保険者(自営業など)が月6.8万円→7.5万円、第2号被保険者(会社員など)は企業型DCとの合計で月6.2万円への引き上げが予定されています(参照:厚生労働省「令和7年度税制改正に関する参考資料」、2025年度)。
2027年1月:加入年齢が70歳未満に拡大
2027年1月の引き落とし分からは、拠出限度額のさらなる引き上げと、加入可能年齢が現行の65歳未満から70歳未満へ拡大される予定です(参照:令和7年度税制改正大綱、2024年12月閣議決定)。長く働く時代に合わせた改正ですね。
iDeCoとNISA、結局どっちを優先すべき?
iDeCo vs NISA 主な違い(筆者作成)
「iDeCoとNISA、両方やった方がいいの?」というご質問もよく受けます。
目的別の使い分けが基本
iDeCoは「老後資金専用・節税重視」、NISAは「自由度重視・いつでも引き出し可能」と覚えるとわかりやすいですね。教育費や住宅資金など60歳前に使う可能性があるお金はNISA、絶対に使わない老後資金はiDeCoという棲み分けが基本です。
受取時の課税の違いに注意
iDeCoは受取時に退職金や年金と合算され課税対象となりますが、NISAは受取時も非課税なので他の所得を気にする必要がありません(参照:国税庁「退職所得の源泉徴収・特別徴収の取扱い」・金融庁「NISAの概要」)。共働き世帯では、まずNISAで生活と並行できる資産形成を行い、余裕があればiDeCoで節税を上乗せする、という順番がおすすめです。
よくある質問(FAQ)
Q1. iDeCoは月いくらから始められますか?
A. 毎月5,000円から始められ、1,000円単位で掛金を設定できます。掛金額の変更は年1回までなので、最初は無理のない金額からスタートし、家計に余裕が出てきたら増額するのがおすすめですね。
Q2. 専業主婦でもiDeCoはやる意味がありますか?
A. 専業主婦(主夫)の方は課税所得がないため、最大のメリットである所得控除は受けられません。運用益非課税のメリットはありますが、引き出し制限のないNISAの方が使いやすいケースが多いです。ご家庭全体での資産配分を考えてみましょう。
Q3. 途中で掛金の支払いが厳しくなったらどうなりますか?
A. 掛金の停止や減額(最低5,000円まで)が可能です。ただし運用は続くため口座管理手数料はかかります。家計が厳しいときは無理せず減額し、余裕が戻ったら増額する柔軟な運用を心がけてくださいね。
まとめ:わが家のライフプランに合わせて、無理なく始めよう
iDeCoは、掛金の所得控除・運用益非課税・受取時控除という3つの節税メリットで、老後資金作りを力強くサポートしてくれる制度です。一方で、60歳まで引き出せない流動性リスクや、元本割れの可能性、受取時の課税ルールなど、注意点もきちんと押さえておきたいですね。
2024年12月以降、制度改正で使い勝手がよくなり、共働き世帯にとってもますます検討しやすくなっています。まずはご家庭の家計を見直し、生活防衛資金・教育費・老後資金のバランスを整えたうえで、無理のない金額から始めてみましょう。
「自分の場合はいくらが適切?」「NISAとどう組み合わせる?」と迷ったら、おうちCFO FP相談でご家庭の状況に合わせたシミュレーションをご提案できます。お気軽にご相談くださいね。